『キャパとゲルダ』を読んだよ日記

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あすなろ書房【キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン】

 

現物画像

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初期ゲルダ・タローが正方形写真の使い手だったらしいので

ロケ地:スターバックスコーヒー秋田広面店

 

 

第二次世界大戦に先立つスペイン内戦を舞台に、黎明期の戦場カメラマンとして活躍したロバート・キャパ、そしてその恋人であり、相棒であり、ライバルでもあったゲルダ・タローの物語。

ゲルダ・タローはまた、女の「家庭にあって男の影に隠れているもの」という像がまだ主流であった地域も多い時代において、男と並び先陣を切って仕事をした、「新しい女性」の筆頭でもある。彼女は、まだ女性がようやくズボンをはき始めた国(それも革命的象徴として)において、カメラを持って戦場の前線を駆け回り、そして戦争によって死んだ。

 

文章は易しく、著者がヤングアダルトを主に手掛けていることもあってか、子供でも読めるだろう。小学校高学年~中学生くらい。出版社サイトには中学生~と書いてあるね。

またいろいろ考えさせられるし、近代史のお勉強にもなるので、中学生あたりオススメ書籍ですよお! お父さん、お母さんも読んでみてね。

 

ゲルダについて

キャパよりはどちらかというと、タローの方に重心がかかった本のように思われる。それは、今までキャパばかりが語られ、タローはその陰に隠れがちであったというのが理由であるかもしれない。私はちなみにロバート・キャパのことも全然知らなかったが、報道史・写真史上は重要な人物であるようだ。タローに関する研究は、最近増えてきたということが文中でもほのめかされていた。裏を返せばあまり研究は進んでいなかったということになるだろう。

この本の著者も、夫婦であり、ビジネスパートナーでもある二人組の共同作業だ。彼らが「キャパとゲルダ」に親近感を感じたこともこういう題材になった理由だと思う。

また「働く女性」、男女が同じように参画する社会について語る上で、タローについて知ることは重要かもしれないと思う。ただ、私の場合、それに関してはネガティブな印象を抱いた。

 

本文中でゲルダ・タローは「タロー」と表記されている場合が多い。ロバート・キャパを「キャパ」と書くのと同じだ。しかし、日本語版タイトルは「ゲルダ」とファーストネーム呼びになっている。

キャパの付属品ではなく一人のカメラマンとして自立したかったことがうかがえるゲルダ・タローとしては、これはどうだろうか?

結局、愛に生きたのはどちらかというとキャパの方であり、長く生き延びたのもキャパであり、名声を得たのもキャパである。

また、戦場カメラマンとしての名声も高まりつつはあったものの、結局ゲルダ・タローは、前線に立ち兵士たちを勇気づける戦乙女、ジャンヌ・ダルク的存在として愛され、殉教者としてその死が人々に嘆かれた。自分も、自分のかわいらしい容姿、そして女であることを十分に利用して仕事をしていたように見えるし、十分に利用して、共和国軍の勝利に貢献しようとした。

 

良くも悪くも、女という属性からは逃れられない、と感じ、それは少し残念な気持ちを私に抱かせた。ゲルダ・タローは、やはり「タロー」であるより「ゲルダ」になってしまうのかな、後世から見ると。

タローのようにあの時代にズボンをはいて髪を切り、前線をも駆け回り、結婚すら断り、恋人からの自立をはかった、職業婦人としてはかなり強い存在であった人さえも。

ただ、それは女の女としての戦い方であり、それくらいしたたかになってもいいのかな、とも思う。私は女の立場について、自分の意見を決めかねているところがある。どちらかといえば、性別に関係なく、その人にあった場所、望んだ場所で輝ければいいんじゃないかな、と思う。そして、男女それぞれ、性別による適正は存在するようにも思う。だからゲルダ・タローの扱われ方について、残念に感じたことは、自分でも発見だった。

 

しかし、男女ともに、性別を完全に超越し個人としてだけ認識されるのは、なかなか難しいのかな。と思った読書体験でした。

 

スペイン内戦について

恥ずかしながら告白すると、私は近代史雑魚すぎて、第二次世界大戦が開戦にいたった経緯や、その中でのスペイン内戦の位置づけについても全くわかっていなかった。この本ではスペイン内戦の意味や世界においてどんな状況があったのかもわかりやすく説明してくれた。

私はピカソゲルニカという絵をビジュアルとしてはよく知っていたが(割と細かく覚えてたと思う)、何を知っていたんでしょうね。

すると、現代におけるシリア内戦、年始にあった衝撃的な攻撃、それを受けて世界の人々が第三次世界大戦を恐れた理由もわかってきた。

そして「不干渉」や中立(?)の意味も、この本を読んでから変わって見えてきた。

歴史を学ぶことの意味を実感したし、私の不勉強、無教養を改めて恥ずかしく思った。

 

以上、いろいろ考えることのある読書でした。

平易な文章で、内容も分かりやすく、子供でも読めると思うけれども、考えることがたくさんあって、割と時間がかかったよ。