話題の『三体』読んだよ

台風のためおうちでしっぽり。少しずつ読み進めていた『三体』を読み終わった。

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各所で絶賛されているとおり、すごかった!

面白そうなもの全部乗せ! という感じ。

興味のある人は迷わず読んでみてほしい。私は時間かかっているようだけど、すごく読みやすいので、まとまった時間のある人はスパーンと読みきってしまえると思う。とてもエンターテインメントとして優れた小説です。

途中で出てくる理論の説明とかは、SFあるあるだけど、意味わからん、パタ(本を閉じる音)となってしまう場合もなくはないかもしれない。それでも少ない部類だと思う。そして、素人目にも「力技だ」とわかる部分がちらほらあるので、理解はだいたい適当でいいんだと思う。力技感はおもしろみだと思う。

 

プッシュしたいこと

私が特にお伝えしたいのは、作中に出てくるVRゲーム「三体」の世界。

「三体」の世界では三つの太陽があって、その動きが全然予測できないんだって。これは「三体問題」として、実際に数学の世界ではよく知られた問題だとか。たまが三つあってそれぞれ引力を持っていると、どういう動きをするのか。それを表す公式はどうやらないみたい。

太陽が三つもあってそれが全部寄ってきたり全部どっか行ってしまったりすると、当然気候はめちゃくちゃになる。その度に「三体」の世界の文明は滅びてしまう。このゲームは、「三体」の世界を旅しながら、気候の謎を解き、万年暦(まともな気候の季節と生活できない気候の季節が、いつ入れ替わって、どのくらい続くのか、を表した暦)を作るのが目的なのだ。

神秘的なのが、この文明の発展が、地球の文明の発展によく似ている、パラレルワールド的な姿をしているっていう設定なんだよね。これは小説『三体』の中でゲーム「三体」の設定を作った人に言いたいんだけど、ほんと面白いよ〜。最近のなんでも歴史上の人物を引っ張ってくる風潮には辟易していたけど、こういうやり方なら面白い。

そのほかにも独特の「三体」世界内文化があり神秘的でよいです。

このゲームの仕様についていまいちわかりにくい(はっきり書かれていない?)ところがあると思うんだけど、たぶん、トラビアン的な、終わりのある一つのワールドをみんなで使う的なちょっと古いタイプのオンラインゲーム?

 

あとはおばさんが出てくるので昔話がけっこうあるんだけど(文化大革命の頃の思い出がメイン)、なんかちょっと昔話特有の良さがある。悲しかったり、切なかったり、あたたかかったりする思い出。そういうものを「良さ」と思う自分が嫌いってことは私のアイデンティティ

 

後半の展開はウオオオオオオ!?wwwみたいな全部乗せ感があり、みんな! 行くぞ! 的設定の疾走感がすごい。前述おばさまの昔話パートには純文学のような美しい場面も少しだけあったりするのだが、これは純文学ではない。エンタメです! 勘違いするなよな。ってくらいでなんかちょっとSF玄人の人々はベタすぎんか? と思ってるのかもしれないなと思った。

 

でも一番伝えたいこと(本を作ること)

『三体』絶賛記事は何本か読んだけど、まだ触れられているのをみてない点として、この日本語版の本の作り方がとてもよかったのではないかなと思う。

中国語の翻訳家二人がまず翻訳原稿を作る。それをSF翻訳の専門家が、英訳版も参考にしながらSFらしくリライトする。さらに中国SFに詳しい作家のチェックを受ける。という非常に丁寧な過程を経て、この日本語版が出版されたらしい。またカバーイラストもSF文庫でなじみのあるイラストレーターに依頼。

日本で大人気を博しているのには、こうした丁寧な出版作業があったことも大きいんじゃないでしょうか。

韓国で全然人気が出なかった、という記事を二回くらいみたのだけど、それはやはり売れると思って作ってないから、っていう結論だったと思う。

面白いお話だけがあっても売れない。それを優れた本にするためには、それなりのプロセスが必要なんだろうな。ということを感じたのでした。出版の事情なんて1ミリもしらないのに、本作りに言及するのは私の悪い癖。はい、終わり〜。でもいい仕事をした人たちがいたんだなあ!!!! って感じたことは残しておきたいです。