読書日記その3 『ボルヘス怪奇譚集』

 

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 6月2日に書泉で購入した本です。この時の日記にも書いたがボルヘスは何も読んだことがない。『幻獣辞典』という本のタイトルは何回もみたことがあってそれと一緒に名前を覚えていた。幻想小説の書き手という理解でいいのかな。

タイトルは『怪奇譚集』だが、ホラーというわけではなさそうだ。朝吹真理子先生の解説の2行目にも書いてある。この解説の1行目は帯にもあっていわく「ベッドサイドに置いてあると間違いなく眠れなくなるから、安眠したいひとはこの本を手に取らないほうがいい」。これも怖くて眠れないという意味ではなく、どんどん読んじゃってねむれねえ〜という意味だと思われる。

横道だけど、朝吹真理子先生は、存命の日本人作家で数少ない大好きな書き手です。

横道から戻ります。怪奇の「怪」よりも「奇」が大きい短編集だった。あまり詳しくないけど、ラヴクラフトっぽいかも。怪奇小説ってラヴクラフトしか読んだことない。

→追記: やっぱり、ラヴクラフトっぽくはないかも。ていうか、この軽率な記述、本当にラヴクラフトしか読んだことない弊害が出てる。

 

1本は長くても6ページほど。2行くらいで終わるのもある。ボルヘス(と共著のカサーレス)が書いたというわけではなく、二人が集めたアンソロジー作品。なおさら、タイトルはこれはどうなの? という感じがしてくるね。でも、こっそりと、引用のていで、二人の創作が挟まれていたりするらしい。楽しそうな編集活動だなっと思う。

どこかで聞いたことがある話も入っている。「死神の顔」がそれ。あ! この話しってる! と思った。カフカやポーからの引用もあり、読んだことある人はあ! となるかも。

短いお話がポンポン出てくるのはよい。とてもよい〜。ダンセイニ卿の本が好きなのですがそれに似ている。稲垣足穂の『一千一秒物語』も近いものがある。

 

そして今朝、昨日の買い物日記でも書いたけど、物語の類型とか、パターンとか、そういうの大好きなんだ。

 

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 果物ひとつの中にモンスターの一集団の魂が収められていて、それを破壊すると彼らはみんな死ぬ、という話がふたつ入っている。それは、そういう伝承が昔からあるんだろうなってことを思わせるよね。どうしてそれが生まれて、語り継がれ、一般化してきたんだろう。と考えるとすごい楽しい、ロマンがある。

インドの神格は自分を増やして同時に存在できるとか。(遍在者)

ボードゲームの結果が現実の戦争に反映されるとか。

 

怪奇小説っぽいな! と思うのは「いかにしてわたしは超人を見つけたか」。じゃっかんSFみもあります。怪奇っていうかコズミックホラーみを覚える。

 

好きなのは「夢」「汽車」といった、なんだろう、どっか救いようのない感じの話。

「ふたりの王とふたつの迷宮の物語」もいい。童話みたいで子供に語って聞かせてもいい。

 

 

よく意味がわかんないのもあった。

などなど、どれもとても短いのだが、1本ずつその物語についてじゅうぶん語ることができる。短いというのは密度が高いということ。物語の芯だけがあるので、長さに反して読むのには時間がかかる。意外なくらい時間がかかる。

カタログのようでもある。小説家や脚本家を目指す人は、これを片手にリライトしてみる訓練もありなのかも。

テーブルの上に出しておいて、占いのように開いて1本読むのも良いね。

 

これからも折に触れて楽しめそうな本。

 

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